ただ一人のために

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「………」 遥は黙ったまま俯く。 すると、女生徒は遥の腕を強引に掴んで、スタスタと歩きだした。 着いたのは、生徒の使用が滅多にない屋上への階段。 「倉庫にはカギをかけたはずだけれど、どうして出ているの??」 腕組みをして、階段の二段上から遥を見下ろす。 「………自力で…小窓から出ました」 遥はおどおどしながらも、場の空気に後押しされて強気な口調で答える。  
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