ただ一人のために

6/37
前へ
/156ページ
次へ
一瞬で室内の空気が凍りついた。 「…んだよそれ」 「冗談にしては笑えないねぇ」 楽斗が声を低くして言うと、臣哉が苦笑いで言葉をつなぐ。 「冗談ではないよねー…多分」 慎太郎が言う。 「朝、屋上から出ようとした時にたまたま聞いた。はる、頬叩かれて相手睨んでた」 英介は少し笑いながら言う。 それを聞いて、室内は一瞬和やかな笑いに包まれた。 「…遥らしいかもな」 「そうだねー」 「遥ちゃん強ーい!」 しかし、次の瞬間には空気が一変した。 「身の程知らずな奴が居たもんだな」 楽斗が、拳を握りしめながら低く唸った。  
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

841人が本棚に入れています
本棚に追加