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街の中心地、市場の大通りを一人の少年が走っていた。
顔は年相応のあどけなさを残しているが、その瞳は総てを見通すような澄んだ色をしていた。
市場の人々は、彼の姿を見ると、一様に手をふった。
「遜坊っちゃん、お早うございます」
「おっ、陸家の遜坊っちゃん。お早うございます」
「陸遜坊っちゃん、お早うございます」
人々の挨拶に彼は手をふりかえし会釈をする。
そう、彼の名は陸遜(リクソン)。
この廬江郡の太守である陸康(リクコウ)は彼の従祖父に当たる。
つまり、陸遜はお偉いさんとこの坊っちゃんという訳だ。
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