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繰り返す波の音に
何も聞こえない
吹き上げる風に乗せて
心で叫んでみる
薄く紅をひいた唇に
そっとふれてみる
もう一度君の声が
聞けるような気がして
細くなった指先に
買ったばかりの指輪が
落ちない様に強く
握り締められたまま・・・
涙流して
忘れられるものならば
千年かけても
泣いて泣き続けてやるのに
春から夏へと
時の風は向きを変える
千年過ぎても
きっと変わらない流れで
時が止まった
真っ白な部屋の窓辺で
短い命を終えて
小さな花が散った
あきらめきれない
思い届けばどこかで
風よ戻ってきて
一枚の花びらでも
この手に・・・
小説
『窓の中のラブストーリー』
より。
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