昔話

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ここは大きな木がある崖の上   この木陰に座って、彼は武器を作っていました   そんな時、見慣れないものが目に入ってきました     人間の女性です   なにか焦った様子で走って来ます     ーあれは…人間?なんでこんなところにー     すると彼女が走ってきた森から獣が飛び出してきました     その獣はまっすぐ人間を狙って飛びかかりました     「だれか…誰か助けて!!」   その悲鳴を聞いた途端、彼は作り終えていた武器を数本手に駆け出しました   ー助けなきゃ!!ー   目の前で誰かが襲われている その光景が今まで抱えていた恐怖や不安を吹き飛ばして彼の背を押しました   獣が彼女の背中に前足の鋭い爪を突き立てる瞬間…彼女が生きる事を諦めかけた時、彼の槍が獣の横っ腹に深く突き刺さりました   倒れたところに更にもう一本 もう一本 もう一本     断末魔と共に、獣は動かなくなりました     彼女にとって、瞬く間の出来事     彼は肩で息をしながら人間のほうを振り返ります   「…大…丈夫……?」 おそるおそる、彼女に尋ねる その声は、彼女の体より震えていて、消え入りそうなほどでした     「ええ…………ありがとう……」 それだけ言うと彼女は気を失って倒れます よく見れば彼女は肩から血を流していました   ー大変だ!!   彼は慌てて彼女を抱え、村へと走りだします   ー傷の手当てをしなくては…!ー     彼はただ、彼女を救うためだけにひたすら走り続けました
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