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「あー、つまんない」
私──零崎宵織は目の前で呟くようにそう言った少女・零崎凛織を見る。
パブ『Cape Of Origin』の地下2階、私に割り当てられた部屋には、机に向かって日記を読み返している私と、ベッドの上でひたすら携帯の画面を見ながらボタンを高速連打している凛織と、2人だけ。
私は手に持った日記をパラパラめくる。開いたのは、私と凛織──リリーとが初めて出会った日。
目が合ったあの瞬間から、リリーは私の私はリリーの、鏡に映った像。
狐さん──西東天、人類最悪の言葉を借りると、"代替品(ジェイルオルタナティブ)"。
生まれも育ちも環境も価値観も考え方も強さも容姿も髪型も表情も体格も体質も目の色も職業も能力も全て違う、私とリリー。
だけど、代替品。
共通点といえば……
私は『探偵』として、
リリーは『伏線師』として、
、、、、、、、、、、、、、
共に因果と論理を追求する殺人鬼だということくらいか。
『……なるほど、私があなたの代替品ね』
リリーが初めて発したその言葉を、私は今でも鮮明に覚えている。
代替品って、何?私は私、あなたはあなた、違うの?
──私とあなたはそんな簡単に言い切れる関係じゃないってことだよ、宵ちゃ。
え?………
──まあ、浅く永く頼むよ
*
「…………宵ちゃ?」
リリーの声で私は現実に戻る。
子供のように純粋な目で私の顔を覗き込む彼女。
「ごめん、回想に耽ってた」
私は目を閉じた。
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