始まり

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しばらく歩くと、お父さんとお母さんの畑が見えてきました。 今日はここで寝るか………。 行く当ての無いギコは、お父さんとお母さんが畑仕事の合間によく休憩場所として使っていた、大きな桜の木の根元に寝転がりました。 そういえば………いろんなことがあったな………。 目を閉じると、10年間の思い出が、まぶたの裏に映し出されてきて、知らないうちに大粒の涙が零れてきました。 今日は晴れていて、こんなにも月が明るくて綺麗なのに、そこだけまるで雨が降っているかのように、たくさんの涙が零れ落ちていました。 お父さんとお母さんには感謝しても感謝しきれない………たくさんの恩があるんだと、改めて思いました。 涙で濡れた顔をこすると、すぐ横に何やら石と花が置いてありました。 生きていた頃はこんな物…? ギコは改めて、自分という存在がこの世から消えてしまったということを自覚しました。 俺のためなんかに墓なんか作ってくれた………。 俺のためなんかにたくさんの花を供えてくれた………。 俺のためなんかに悲しんでくれた………。 今度は………俺の番だ!!! ギコはお父さんとお母さんに恩返しをする決心をし、眠りにつきました。
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