理由

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その時はイマイチ状況が掴めなくて、何が起こったか理解出来なくて、悲しいという感情も忘れたみたいに涙も流さず、呆然としていた。 だけど、彼の葬式に参列し笑顔を浮かべた今は亡き彼の遺影を見ると、今まで一粒も出なかった涙が後から後からとめどなく溢れだした。 それまで流さなかった涙まで溢れるように… その夜は、ただ独り部屋の隅で泣きじゃくった。 人がいなくなることに対してどうやって対応すればいいか分からなくて、あの時の私には泣くことしかできなかったのだろう。 だけど不幸はこれだけでは終わらなかったんだ。  
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