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東京都、とある豪邸内。
その一室で二つの向き合う影があった。
一人は、中年の、しかし、確かな威厳を持った人物。
もう一人は、中学生くらいの少年。
少年の容姿は誰が見ても羨ましいくらいに整っている。
髪は真っ黒、目は日本人にしては珍しい青。
同年代の異性にとてもモテそうな少年である。
二つの影の内、一つが口を開いた。
「影人よ、やってくれたな」
外見にとても合った低い声で中年の男が言った。
「何のこと」
対して全く感情の感じられない声で少年、神宮寺影人【ジングウジエイト】が答える。
「とぼけるな、あと少しで神楽坂を潰せたんだぞ」
影人の態度に苛立たし気に返す中年の男。
「金次、あんたのやり方は気に食わない。前にも言ったはずだ」
中年の男、影人の父、神宮寺金次【ジングウジキンジ】に対して感情のない声で対応する影人。
「それに、これからもこんなやり方をしたら、俺は妨害する、とも言った」
怒りからか黙ったままの金次に向けて言い続ける影人。
「出て行け」
唐突に金次が口を開いた。
「この神宮寺家から出て行け!お前なぞ、もう私の息子じゃない!!」
怒りに任せ叫ぶ金次。
「あぁ、出て行ってやるよこんな所」
変わらず無感情な声で言い捨て、影人は部屋から出て行った。
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