プロローグ

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「カゲ兄ィ……………」 部屋を後にした影人の耳に可愛いらしい声が聞こえる。 その声に反応した影人は、先程までの無感情という『仮面』を外し、『兄モード』に入る。 「どうした?舞花」 微笑みを顔に浮かべる影人。 先程までの影人を見ていた人物ならば、あまりの変身の速さに「誰ですか?」とツッコミたくなるほどだ。 影人が振り向いた先にいたのは、影人の妹、神宮寺舞花【ジングウジマイカ】。 髪は腰まで届くほどの長さで色は金色。目は影人と一緒の青。背は低め。今年、中学校に入学する。しかし、体のラインはしっかりとしていて、出ているところはちゃんと出ている。 「カゲ兄ィ……とーさんに酷いこと言われた?」 舞花が影人を心配そうな顔で見上げてくる。 影人は舞花が使っている「カゲ兄ィ」という呼び方を結構気に入っている。 「何でもないよ、舞花。だから、そんなに悲しそうな顔するな」 妹と喋るときの影人の言葉はとても優しく、不安なんて吹き飛ばしてしまうほどである。 「本当?良かったぁ」 影人が心配をかけないように言った言葉に安心したのか、舞花は満面の笑みで影人を見上げる。 「あぁ、だから部屋に戻りな」 影人は妹に迷惑をかけないように、先程までの話しの内容がバレないように振る舞う。 「うん、わかった。じゃあねカゲ兄ィ」 そう言い舞花は自分の部屋へと駆けて行った。 「ふぅ、危ない」 妹に気付かれずに安心する影人。 「影クン、何が危ないの?」 後ろからの声に影人はビクッと体を震わせて振り返った。
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