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ゆっくりと…唇が離れるなり、私はクレームをつけた
「こんな所でキスしてくるかな、普通」
「ムードは考えたつもりだ」
即座に霧人の言葉が返ってくる
…ここはグラウンドからさほど離れていない木陰
枝越しとはいえ、偶然誰かに見られる可能性は皆無とはいえない
小さく笑う霧人に、少し溜息混じりの答えを返す
「本当にスリルが好きなんだから…」
「人のことは言えないだろ…
濃厚に応じてきたのは遊依の方だ」
「一方的って言うのは性に合わないもの」
肩をすくめて上目遣いに霧人を睨む
「にしても…どうして悩殺されてくれないかな?
そんなに下手だった?私のキス」
「いや?上手かったと思うが…。普通の男なら一発で落とせるんじゃないか?」
そんな台詞を平然と言われても、とても誉められた気がしない
「…理性も飛ばさずに、ぬけぬけと言うし」
「いや…、基本的な土台が抜けてるんだから、陶酔しろって言っても無理な話だろ」
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