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「拙者は、ここで死ぬんだな………」
腕を縛られ、自由を奪われた若い男――関平は一人、自身を嘲笑[アザワラ]うかのように呟いた。
隣には同じように縛られた、長く整えられた髭の大男が座って、いや、跪いていると言ったほうが良いだろう。
緑色の鎧は泥や土で汚れ、本来の鮮やかな色は失われていた。
その男は関羽。
「軍神」と称えられた男。
そして、関平の父親でもある。
「むぅぅ………よもや、このような所で捕まるとは……」
関羽は何とか縄を解こうとその巨体を動かす。
しかし、がっちりと縛られた縄はほどける気配が無い。
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