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呉の呂蒙が病に倒れ療養のため、代わりに無名の陸遜が大都督となった。
―――彼は軍規もろくに守らず、毎日宴会を開いている―――
そう聞いた関羽は、陸口方面の守備兵の半数を樊城戦線へ移した。
「無能な大将など恐るるに足らん」
誰もがそう思った。
が、これがまずかった。
ある嵐の夜、国境に一番近い烽火台に商船隊が流れ着くように停泊した。
乗っていた商人たちは口々に、
「嵐のため、このまま進めば船が転覆してしまいます。どうか一晩だけ、ここで休ませて下さい」
と言って彼らに懇願した。
烽火台の兵もさすがに人の子である。
商人たちを再びこの嵐の中に晒す事は危険であったし、何より断れば外聞が悪くなる。
当然、それを快く許した。
商人たちはその礼として、酒や肉を差し入れてきた。
烽火台の兵は喜び、宴のようにそれを散々飲み食いした。
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