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「迷ったりしないでよ、ウィン。目を離したらいつもいないんだから」
言い飽きたかのような口調でミストが言った。
「へいへい、わかってますよ」
と相変わらずな口調で赤髪のウィングが返事する。
早朝、黒龍エバニーネスに乗って大迷宮に来たのは全部で五人。
ウィング、ミスト、クラウド、エイプル、スノーである。
今までならこのメンバーに天才術者のブロウが加わっていただろうが、彼は今回港町パルバに残り敵の襲撃を警戒している。
レンボーと新たな仲間ターネイドも町に残った。
「エバニーネスが我々の仲間になったことは〈血の刺客〉はまだ知らないはずです。エバニーネス、可能な限り目立った行動はしないようにしていただけますか?」
「うむ、遥か上空からお主らを見ておこう。危険が近付けば、助太刀する」
黒龍は鋭く息を吐きながら大きく頷いた。
クラウドは素早く礼を言い、エバニーネスが飛び立つのを慎重な面持ちで見た。
「では、行きましょう。地上に存在する建造物で最も規模が大きく、今や国の保護を受けて守られている大迷宮へ」
「何でそんな説明がいるんだよ?」
ウィングが疑問を口にする。
答えたのはエイプルだった。
「私達の母国ユニバース国と南国カームリプル国の両国が守っているから、傷つけたりとかあんまり暴れちゃいけないの。クラウドはそれが言いたいのよ」
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