ツンデレラ・ガール

5/5
前へ
/5ページ
次へ
「こ、恋人っぽくって! アンタ、またそんな恥ずかしい事を……」 「んじゃ、寄るぞー?」  ずいっ。  肩と肩が触れ合う。風峰がびくっと振るえた。 「ち、近いわよ」 「そりゃ、近寄ったんだからな。嫌ならやめるが」  そう言って、今度は遠ざかってみる。 「ふぇっ? な、なんで遠ざかるのよ!」 「だって、嫌なんだろ? 俺は、お前の気持ちを大切にしてやりたいんだ」  優しい声で言う。 「い、嫌じゃない……」 「うん?」 「嫌じゃないって言ってるのよ! もっとくっつきなさいよっ!」  これ以上ないくらいに顔を真っ赤にして、風峰は叫んだ。  朝の通学路には、俺たち以外の学生もたくさんいる。そいつらが、一気にこっちに注目した。 「~~~~~っ!」  風峰は相当恥ずかしかったらしく、下を向きながら俯いてしまった。今にも湯気がでそうなくらいに顔を赤面させながら――。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加