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生まれて初めて、俺に恋人ができた。
ちょっと素直じゃないが、とても可愛い女の子だ。
モデル顔負けのスレンダーな肢体に、透き通るのような白い肌。黒く美しいロングヘアーをポニーテールに結い上げている。小さく、整った顔立ちは、ガラス細工を髣髴させる。
可愛い。というか、綺麗だ。いや、美しい。
そんな歯の浮くような台詞が、彼女を前にすると自然に口から出てしまうほどに、素敵な女の子だった。――惚気じゃないぞ。
彼女が隣にいるだけで、見慣れた通学路がこんなにも変わって見えるのは何故だろう。恋人との登校。夢にまで見たシチュエーションだった。
「な、なにジロジロ人の身体みてるのよ」
不機嫌そうな表情を浮かべ、恥じらいながら言った。隠すように、自分の身体を抱きしめる。
彼女は名を「風峰静羽」という。
「いや、なんていうか、信じられなくてさ」
「な、何がよ?」
「お前が――風峰が、俺の彼女だってことがだよ」
俺がそう言うと、彼女の表情が少し曇った。そして急に上目遣いになり、不安げに口を開く。
「わたしじゃ、不満なの……?」
おいおい。
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