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そう言って、彼女はぶっきらぼうに俺に手を突き出してきた。
「ほら、わたしと手が繋げるのよ? 感謝しなさいよね」
そっぽを向いて、顔を真っ赤にして言い捨てる。
だが、そんな偉そうな事を言っても、そんな様子じゃ威厳の欠片もない。
「はいはい。感謝感謝っと」
俺も、彼女に手を差し出す。
手が、触れ合った。
「ひあっ……」
風峰が息を呑んだ。かなり緊張しているらしい。おいおい、こっちまで緊張してきちゃったじゃねーか。
「じゃ、じゃあ握るぞ?」
「い、いちいち確認しなくていいわよ」
指と指を絡めるようにして握っていく。俗にいう、恋人繋ぎというやつだ。
「なんかいいな、こういうの」
「……そうね」
お、珍しく素直だな。
俺はそれを好機と捉え、もう少し進んでみようと考えた。
「なあ、もう少し寄っていいか?」
「え?」
「ほら、恋人っぽく、寄り添っていいかってこと」
すると、また彼女は真っ赤になって憤慨する。
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