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次の日の朝…僕は昨日お母さんと通った道を一人で歩いていた。一人で通る道は少し遠く感じた。
「遠いなぁ…歩くのやだなぁ……」
小学校よりも重たい鞄を背負ってのこの道のりは僕にしてみればちょっとした拷問だった…。
学校に着く頃にはヘトヘトだった。教室に入ると一人の男の子がもう登校していた。
僕だってかなり早いと思うのにそれよりも前に登校している子がいた。
「おはよう。」
僕が声をかけると、その子は小さくおはようと返した。
少しの間、2人きりになった。ちょっと気まずかった。
でも10分位するとみんな一斉に教室に入ってくる。
「おーす‼昭斗‼早いなぁ‼」
みんな僕に声をかけてきた。まだ顔と名前が一致しない人さえも僕に声をかけてきた。
「おはよう。僕は遠いから…少し早めに家を出てるんだ‼」
この時は変だとは思わなかった。自分のことで頭がいっぱいだったから……。
「昭斗?お前勉強やったか?」
良くんが僕に声をかけてきた。
「何で?」と僕が問いかけると良くんは英語の抜き打ち試験があるみたいだと教えてくれた。
「英語なんて分かんないよ‼」
僕はちょっと泣きそうな声で言った。アルファベットもろくに言えないのに…外国人はスゴいな‼って思った……。
担任の先生が教室に入ってきた。入学式で僕の名前を呼んだ人だった。
名前は遠野詠司。若くて優しそうな先生だった。
「出席とるぞ‼」
先生が一人一人の名前を読み上げた。
その中にもちろん僕の名前もあった。
そして朝の男の子の名前も…。
「吉岡雅俊‼」
吉岡雅俊君ていうんだ…あの男の子……。
今日は良くんの言ったとおり、抜き打ち試験があった。もちろん僕は出来なかった。
良くんは自信満々に俺って天才かも‼と冗談じみてはなしていた。
「良くんはスゴいな‼僕も見習おう‼」
僕は良くんにそう言うと、良くんは嬉しそうに、ちょっと謙遜した。
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