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少しするとみんな続々と登校してきた…。
僕はいつものように挨拶をする。
みんなはやっぱり僕だけに挨拶をする。
違和感を感じた。
ここに吉岡君がいないもののように……。
誰もが……僕だけに。
もしかしたら……イジメはもう……始まっている?
ホームルーム中にまた良くんから手紙が回ってきた。
恐る恐る、手紙を開いた……。
差出人、赤星弘幸
うじ虫は汚いから…
やっぱりシカトだろ?
口聞いたら……そいつも…。
うじ虫の仲間だ‼
分かったな?
うじ虫はシカトだぞ‼
手紙の内容を見て…僕は朝のことを後悔した。
友達なんて……。
絶対無理だ‼‼‼
イジメられたくない‼‼
この日を境に……吉岡君のイジメが本格的に始まった…。
僕は出来る限り吉岡君と目を合わせなかった。
なんて…最低な人間だろう……。
長い長い1日が終わると、赤星君は吉岡君の席に近寄っていった。
「よぉ…うじ虫‼」
吉岡君は、はっとして、赤星君を見た。
「ほら…お友達だ‼」
赤星君はそう言うと、バケツの中身を吉岡君に振り掛けた…。
僕はぎょっとした。
大量のうじ虫が吉岡君の体に降り注がれた。
僕は声にならない声を出し…その場を立ち去った。
立ち去る瞬間…吉岡君が僕に助けを求める目をした…。
僕は……「う…うじ虫‼」と言ってしまった。
とうとう僕は最低な人間になってしまった。
吉岡君は悲しそうに泣き出した。
「お仲間きちんと片付けておけよ‼うじ虫‼」
僕は振り返らずに、家まで走った。
息が切れていた…
苦しかった。
でも…何だか…違うところの方が…苦しかった……。
吉岡君……ごめんなさい……心の中で何度も繰り返し謝った……。
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