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とうとう…イジメが本格的になってきた…初めは赤星君だけだったのに…どういうわけか、みんなイジメに参加していた。
吉岡君の机にあきらかにカビのはえているパンがおいてあったり…
教科書には、様々な暴言がイタズラされていたり、
挙げ句の果てには、何匹ものうじ虫を吉岡君の鞄の中に放り込んだり…さすがに…見ていて、気持ちの良いものではなかった…。
ふと目をやると、良くんまでイジメに参加していた…
良くん…君のしていることは最低な事だよ‼
そう言いたかった。
でも僕はもっと最低な事をした……。
「やめてよ…お願い。」
吉岡君が泣いて懇願する…もちろん聞き入れる人なんていない…。
「お願い…助けて‼」
僕は知らないフリをして、窓から校庭を見下ろしていた…。
「誰も助ける奴なんていねぇよ‼」
赤星君はそう言うと、吉岡君の服を剥ぎ始めた。
後ろの方で、笑い声がした…。その中に、絶望にも似た悲鳴が木霊した。
僕は後ろを恐る恐る振り返った。
「ひっ‼」
振り返った先には体中うじ虫だらけにされた吉岡君がいた…。
「うじ虫‼お前の仲間…裏の溜め池にたくさんいたぜ‼もっといるから…安心しろよ‼」
赤星君は笑いながら吉岡君を突き飛ばした…。
「うわ‼汚ねぇ‼」
吉岡君はその場に座り込んだ…。
「昭斗‼面白いだろ?」
赤星君が僕に問いかけてきた……。
僕は引きつった顔をしたが…何とか笑いながら…「う……うん」
と言った。
吉岡君は僕を見ると、小さく【タスケテ…トモダチ…デショ】と口を動かした…。
僕は……
「友達なんて一人もいなさそうだよね‼」
と間髪入れずに、赤星君に話しかけた……。
「僕だって…こんな友達いらないよ‼‼」
言ってしまった……。
「昭斗‼サッカーしようぜ‼」
赤星君はサッカーをしようぜ‼と僕を誘った。
僕はサッカーより野球がしたかったが……怖くて…言えなかった……。
野球がしたかった。
良くんもいつの間にか…サッカーをしていた。
僕と良くんは同類だった………。
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