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路地は茹だっている。彼女たちの褐色の肌には暑さはむしろ歓迎だ。
手鏡で化粧を直すジュンコの尻が、ワン・オブ・アスを口遊むミサにタッチされた。
どこの痴漢よ!
振り向くとそこには、永遠に正体を隠しとおすつもりの、着ぐるみの熊。
休み返上で100日間踊りつづけるピエロが手をふって別れを惜しんでいた。
いつの間にか三少女は街の人気者になっていたのだ。
着ぐるみを脱いだ熊も手をふっていた。そう、着ぐるみの熊の正体は熊だった。
はさみで僅かだが余分に前髪を切ってしまったジュンコをなぐさめ、チハルの指さすところには橋がある。
「ミサ、ジュンコ、なんて広大な運河なのかしら」
チハルは涙を流す。彼女はアクセル・ローズのように涙もろい、感激屋さんなのか。
生まれてこのかた盆地から一歩も出たことのない三少女は、海のある街にずっと憧れていたのだ。椅子を買った。
この椅子、きっとロシア製よ。どう思う?
知らん!
チハルは椅子を返品した。家具屋の主人は怒っていた。
当たり前だ。
隣の街は逆輸入の歴史が有名な街だった。
始終レゲエが流れているような街、まず三少女が捜したのは、トイレ。
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