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「そうよ、あなたはここにいる。」
あたしはそう応えた。
…
暫くの沈黙の時間が流れ、重たくなった口を、ようやく、銀は開き、語りだしたの。
『やっぱり分からないよ。僕は今まで意識や魂というものを考えてもみなかったんだ。だってずっと僕だけで過ごしてきて、僕の存在がいわば世界の「全て」だったから、考える必要がなかったからさ。』
『だけどクドリャフカ、君に出会い、こうして話をする事で僕は「僕の世界」から「僕以外の世界がある世界」を知ることができたんだ。
そこには、自分の世界を成り立たせるために個々の意志や魂が必要となるのじゃないかな。僕はそう考えた。』
『脳がなくても魂はある。僕の存在はある、それは認めるよ。』
『でも、やっぱり、魂は一体何処から来て、何処にあるの?僕の存在って一体何なの?』
銀の言っている事が段々理解出来なくなって来たわ。銀自身も混乱しているようだし…。
ほんとにもう…
あたしはため息をついてこう言った。
「銀!あなた難しく考えすぎ!
いい?悩んだときは行動するのが一番よ!あなた宇宙の果てに興味があったんでしょ?そこに行けばあなたの答えが見つかるかも知れないんだから行きましょうよ!…あたしも付き合ってあげるからさっ!」
はあ、言っちゃった。これでもう帰れないかもしれないな。
ま、ホントは死んでたんだから、いいか!
『…ありがとう。』
銀は小さく呟いたのをあたしは聴き逃さなかったわよ?ふふ、素直な所もあるじゃない。
さて。
あたしは銀の意識から眼下いっぱいに映る青い星に向かって叫んだ!
「みんな~、行ってきます!お母さん!必ず帰ってくるからね~!」
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