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気が付くと、そこは狭い部屋の中だった。
ああ、あれは夢だったのね…。
やっぱりあのままお母さんの所に居れば良かった…。このまま狭く苦しい部屋の中でずっと過ごしていかなければならない…あたしは絶望した。
『上手く行ったようだね』
突然頭の中で声がする。
『君の代謝活動が停止してたから再び直してみた。初めての試みだったから僕も自信はなかったけどね。』
はい?意味が解らない。
あたしは戸惑った。なんで?この部屋にはあたししか居ない筈でしょ?
『僕は居るよ?君と一緒になったんだ。』
また誰も居ないのに声がする。
あたしは軽く混乱しながらも冷静さを取り戻そうと努めた。
「何なの!?あなたは誰?どこから来たのよ?ここは密閉されて入ってこれないし、第一あたし以外のスペースなんて無いじゃないの?これは部屋の外から話しかけてる聴こえかたじゃないし…」
『流石だね。この状況でその程度の動揺で済み、そこまで判断力が働くなんて。そう、僕は君の頭に直接語りかけているんだ。
そして、さっきも言ったけど僕と君は一緒になったから。君の様な形というものは、僕にはないんだ。
あ、それとわざわざ声に出さないで良いから。思うだけで伝わるよ』
何を言っているの?
あたしはこれも夢かも知れないと思いながら、尚も尋ねる。
「あなたは何なのよ!?」
『それを探してみたくなったんだ。』
『今から君の脳に情報を送るから。多分パンクする事は無いと思うけど。』
頭の中の声はそう言うと、たちまち大量の記憶を流しこんできたの。
声の主の名前は「銀」。いつの間にかにいる存在で、地球が無かった頃から此処にいて、歴史をずっと見てきた事、生物の発生と進化をずっと見てきた事、生物が自分に似た意識を持つようになった事、そしてあたしと一緒になって湧いた疑問、とにかく沢山のイメージが一気にあたしの頭の中になだれ込んできたの。
あたしが理解出来る範囲から超える記憶もあったけど、どうにかパンクせずに受け入れられたみたい。
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