568人が本棚に入れています
本棚に追加
若葉の色が濃くなるこの時期、
梅雨の前の晴れ間が僕を照らしていた。
僕はみんなから山ちゃんって呼ばれてる。
ゆうと君とちぃとは同じクラス。
ゆうと君は今日は仕事、ちぃは友達と遊びに駅前へ、
僕は一人で駅前に漫画を買いにきてる。
みんな予定があるもんね…
なんて思いながら。
本屋は学校帰りの学生で賑わっている(ぼくもだけどね)。
目当ての漫画を見つけ会計をすませ外にでると、西日が気持ちよかった。
さて、帰宅の途につくかと思いながら歩き始めた矢先…
あぁ疲れた…
俺の名前はゆうと、今日は番組収録と雑誌の撮影で学校を休んだ。
俺だけかよ…なんて思いながら。
くたくたになった体を動かし、西日が輝く駅に降り立った。
ふと顔を上げると、そこには本屋から幸せそうな顔をした山ちゃんが出てきた。
ラッキー!なんて思っている自分…理由は、山ちゃんがスキ…
と、ともかく山ちゃんを捕まえることにした。
「っ!だ、誰?」
いきなり後ろから肩をたたかれて驚いて振り返ると「山ちゃん!」と満面の笑みを浮かべるゆうと君の姿があった。
「ゆうと君かぁ!驚いたよー、もー、お仕事お疲れ様」
「ありがとっ!」
「…なにかあったの?」
「へっ?」
「だって、異常なくらいテンションが高いし…」
「あぁ、うん、何となくね…(ここで、大好きな山ちゃんに会えたから、なんていえる訳ないじゃん)」
「ふーん、あっ、一緒に帰ろっか」
「お、おう…(わーっ!やべー)」
といった感じで二人は帰路についた。
道の向かい側からちぃが凝視していたのも知らずに。
.
最初のコメントを投稿しよう!