§始まりは突然§

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若葉の色が濃くなるこの時期、 梅雨の前の晴れ間が僕を照らしていた。 僕はみんなから山ちゃんって呼ばれてる。 ゆうと君とちぃとは同じクラス。 ゆうと君は今日は仕事、ちぃは友達と遊びに駅前へ、 僕は一人で駅前に漫画を買いにきてる。 みんな予定があるもんね… なんて思いながら。 本屋は学校帰りの学生で賑わっている(ぼくもだけどね)。 目当ての漫画を見つけ会計をすませ外にでると、西日が気持ちよかった。 さて、帰宅の途につくかと思いながら歩き始めた矢先… あぁ疲れた… 俺の名前はゆうと、今日は番組収録と雑誌の撮影で学校を休んだ。 俺だけかよ…なんて思いながら。 くたくたになった体を動かし、西日が輝く駅に降り立った。 ふと顔を上げると、そこには本屋から幸せそうな顔をした山ちゃんが出てきた。 ラッキー!なんて思っている自分…理由は、山ちゃんがスキ… と、ともかく山ちゃんを捕まえることにした。 「っ!だ、誰?」 いきなり後ろから肩をたたかれて驚いて振り返ると「山ちゃん!」と満面の笑みを浮かべるゆうと君の姿があった。 「ゆうと君かぁ!驚いたよー、もー、お仕事お疲れ様」 「ありがとっ!」 「…なにかあったの?」 「へっ?」 「だって、異常なくらいテンションが高いし…」 「あぁ、うん、何となくね…(ここで、大好きな山ちゃんに会えたから、なんていえる訳ないじゃん)」 「ふーん、あっ、一緒に帰ろっか」 「お、おう…(わーっ!やべー)」 といった感じで二人は帰路についた。 道の向かい側からちぃが凝視していたのも知らずに。 .
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