第1章

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窓をあけると、清々しい風が入って来る。その風によって揺らされた木々の葉が擦れる音、小鳥の囀り…いつもと何ら変わりはないのに、何故だかとても新鮮な気持ちだ。…いや、『何故だか』と言う表現はおかしいかな。理由なら分かっている。それは、俺が今日から高校生になったからだ。 俺は近衛透(コノエトオル)。今言った通り、高校1年生だ。 コンコン 「なに?」 返事をすると、ちょっとだけ開いたドアの隙間から父さんが顔をのぞかせる。 「お、流石に起きてるな。もうすぐご飯出来るから、降りてこいよ」 「分かった」 俺はスウェットのまま、部屋を出て行った。 「おはよう、透。ちょうど出来た所よ」 「おはよう、母さん」 食卓にはご飯、味噌汁、焼き鮭、漬物と和風のメニューが置いてある。
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