姿の見えない悪魔

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――――「先程の報告で犯人の特徴はないと言っていましたが、被害者への事情聴取は行った筈なのでは?」 責めるように鋭く吐き出されるもっともな疑問。 『ですから、先程も言った通り被害者の話からはなんの手掛かりも掴めなかったのです。』 「その様な状態で会見を開いたのですか?」 『だからこそ開いたのです! 皆様からの情報提供が必要だと。』 はっきりしない答えと責めるような問いに お互いジリジリとした苛立ちが募る。 これ以上の質問に耐えきれなかったのか、警察は逃げるように会見の場を後にした。 結局、今回の会見では記者側では掴めた事は一つもなく 記事になるようなものは警察への批判だけだった。 国民へ協力を要請して早期解決を図る筈が、逆に人々の反感を買ってしまったのである。
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