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幼い頃から演技には自信があった。
両親は仕事が忙しくてほとんど家に帰らなかったけど、寂しそうなそぶりは見せた事がない。
周りからは"大人びた子"…なんて言われてたけど、嘘。
本当は寂しくて寂しくて仕方なかった。
だから両親が事故で死んだ時は後悔したわ。
もっと素直になっておけば……ってね。
甘え方も知らなかった私は同情や励ましをもらって、家族じゃない人に引き取られた後もずっと演技し続けた。
大人の機嫌を損ねないように、損ねないように…
でも、大きくなるにつれて、それは当たり前の事なんだって分かる。
誰しもが、仮面をかぶって生きている--…
だから、仮面をかぶり続けてきた私には天職だったのよ。
劇団にスカウトされてから、5年で今の地位まで上りつめたわ。
もちろん、楽な道のりじゃなかったけど…
今では私の名前を知らない者はいないーーー。
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