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『忙しくて連絡もできなかったか。たまにはこっちにも顔を出せ。4年前の誕生パーティー以来だろう……。俺は成長したお前が見たい』
「もう、そんな時期か……」
スタンはどこか遠い目をしながら、自宅近くの駐車場に車を止めた。
『聞けば有名な女優と恋仲だそうだな』
突然話題をとんでもない方向に振られ、スタンは思わず言葉に詰まってしまった。
「い、いやこいつは……」
否定しようにも国家機密が絡んだその特殊な経緯上、難しかった。
エミリアは自分に話題が向けられた事に気付いたのか、首を傾げている。
『彼女も連れてこい』
更なる追い討ちをかけるその言葉に、スタンはギョッとしたように体を硬直させる。
『パーティーは華やかな方がいい。まだ少し時間はある、日程はなんとかなるだろう。お前とは積もる話もあからな……。待ってるぞ』
そういって電話は切られてしまった。
(最悪な事になった……)
青ざめた顔で頭を抱えるスタンにエミリアは怪訝な顔。
「どうしたの…?お父さんだったんでしょう?」
「"父親のようなもの"だ……。パーティーに呼ばれた」
「あらいいじゃない、行ってあげれば」
「お前も連れて来いだと……」
「そうなの………って、ええええーッ!?」
狭い車内に、エミリアの高い叫び声が響き渡ったーーー
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