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ーーー約20年前。
とあるスラム街の一角には、耳を塞ぎたくなるような折檻の音が響いていたーーー
膝をついて床に崩れ落ちる女を無精髭を生やした男が更に乱暴に叩くと、女は青い瞳から涙を流して抵抗した。
『いやッ!ジャスティン!やめてよッ!』
美しい女だったが暴力によって髪はボサボサに乱れ、顔や体じゅうに痣が散らばっていた。
『うるせえこの腐れた娼婦が!金だッ!』
『あんたが全部博打と酒に流しちまったんじゃないか!』
『だったらあの誰の子供か知らねえガキを売り飛ばせッ!』
ジャスティンと呼ばれた男が指差す先にいたのは、テーブルの下でガチガチと震えているまだ3~4歳の男児だった。
『相変わらず薄汚ェ青い髪と目だぜ……。前々から気に食わなかったんだ』
男は男児の髪を掴んでテーブルの下から引きずり出すと、腹部を乱暴に足で蹴り上げたーーー
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