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ーーー現在。セルジオン城。
「結論から言おう。ジョバンニ・バレンチアノはイーサーに禁薬〝インビジブル〟を密売している可能性が非常に高い」
いつになく真剣なフレデリックの言葉に、スタンは深海の瞳を細めた。
「これは王国としては非常に穏やかじゃない。」
一方、アイスブルーの目は揺るぎのない強い光を放っている。
「インビジブルのような人体強化薬が出回れば反国組織を活性化させるだけでなく、多額の報酬に目が眩んで手を伸ばす部外者も出てくるだろう。そうなれば国の秩序も危うい」
「俺に潜入捜索をしろと?」
「察しがいいね」
「お断りします」
「ナイトレイド!」
スタンの隣にいたヴォルフガングは、その態度の悪さや言動も含めて厳しい口調で咎める。
「俺が一体どういう立場なのか分かってるのかッ!」
しかし噛み付くように言うスタンにフレデリックはたじろぎもしない。
それどころかニコニコと笑いながら「うん」と答えるのであった。
(野郎ッ……!)
いよいよスタンのこめかみに青筋が立つ。
「君の言いたい事は分かるよ。でも今、君は王国で雇われているんだ。それを忘れないでね」
そしてフレデリックは更にスタンを崖から突き落とすかのような言葉を笑顔で言い残す。
「パーティー、楽しんできてね」
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