ACT.25 サイコロジカル・アタック

4/33
8627人が本棚に入れています
本棚に追加
/507ページ
「テメェ等よく聞け。」 やがて低いボーグの声が響くと、イーサーの主要メンバー達はそれぞれの手を止め赤い男を見据えた。 「今夜のパーティーは俺も含め、ここにいるメンバーの働きが一番重要になる。サファイアの奪取を最優先とした精鋭特攻だ、ヘマは許されねえ」 鋭い声は静寂した空間に重厚に響いた。 「このヤマを越えた後は腐った国からおさらばしてえ奴は消えるも良し、金を頂いて豪遊するも良し…言っとくが労災は下りねえからな」 軽い口調で付け足した言葉に、メンバーは笑い声を上げる。 「Aチームは研究所の図面を隅々まで叩き込め。まずユーリが先導して暗号解読プログラムを使い最初のセキュリティーを突破する。目標は何分だユーリ?」 「研究所の全セキュリティーシステムをウィルスで一時的に麻痺させる事ができる限界時間は10分、これを過ぎると自動修復プログラムが作動して警報機鳴りまくるからね」 ユーリはパソコンを叩きながら普段通りの様子で言った。 「……ま、結論から言うと波風立てねえで事を終えるのは不可能だ。だが時間稼ぎと不意を突くには充分な数字だろ」 黒ずんだカウンターに座ったボーグは隣でスクリューのくわえていた煙草を取ると、自らの肺にそれを含んだ。
/507ページ

最初のコメントを投稿しよう!