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ーーーセルジオン王国。
先進的なビルが立ち並ぶ王都は、オフィス街や商業街、歓楽街といった場所ごとにいくつかの区画に分けられていた。
深夜帯にも関わらず美しいネオンが輝く街並み。
その中心部に位置する高台にそびえ立つ城は、どの高層建造物にも引けを取らぬ程の存在感を放っていた。
しかし青白い光でライトアップされたそこには、けたたましい警報機の音が響き渡っているーーー。
それでも青年の心は風のない水面のように何ひとつ揺らぐ事はなかった。
ここから見える星は綺麗だーーーなどと、ぼんやり考える。
夜空に酷似した暗めの青い髪が風になびけば、その首元には黒い紋章が露になった。
やがてイヤホンから警報にも負けないバカでかい声が青年の鼓膜を激しく揺らす。
『〝ナイトレイド〟!!どこにいるッ!』
声の主は青年の仲間だろうか、しかしかなりご立腹した様子だった。
一方、ナイトレイドと呼ばれた青年は悪びれる様子もなく平然とした口調。
「どこって城に決まってんだろ」
『んな事ァ分かってんだよボケッ!!地下の研究所にネズミが入り込んだ!今すぐ来い!』
焦りを帯びた声の向こうでは激しい銃撃の音が響き渡っていた。
高所に位置する城の屋根に寝そべりながら紫煙を上らせていたナイトレイドは、舌打ち交じりに煙草の火を消すと腰を上げ、吸い殻をどこかのバルコニーに投げ捨てる。
男は一見丸腰である為、戦闘とは無縁そうに見えた。
「ったく、一服もさせてくれねえのかよ」
面倒臭そうに言うと、ナイトレイドは猫のような身のこなしで一気に下界へと飛び降りていったーーー。
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