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カイが無言でカクテルを待っているとバーのドアが開く音がした。
マスターはちらりと見ただけで何もしない。
カイはマスターが何も言わないのなら気にする必要はないと判断し、入ってきた人物を見ることはなかった。
しかし、相手の方はそうもいかないらしい。
辺りを見回し誰かを探している。
少しして、その人物はその誰かを見付けたのかスタスタと真っすぐに歩いてくる。
そして入ってきた人物はカイの隣に腰を下ろした。
その人物がちょうど隣へと座った時にカクテルが出来、カイの前に置かれた。
『そのカクテルは美味しいのか?』
カイがカクテルに口を付ける前に相手が聞いてきた。
その声に驚いたカイは隣に座った人物を見る。
別にその声が聞いたことあるとか、知り合いだとかそんなものじゃない。
ただその声が、このバーには不釣り合いな―――女の声だったのだ。
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