89人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ…。俺、先月結婚したんだよ…。メールでも伝えたよな?」
優しい笑顔で
私を見つめている
その優しい笑顔は
皮肉だった
ちょうどその頃は
勉強にあけくれていて
お兄ちゃんからのメールを見る暇がなかったからだ
私は泣きたいのをこらえて
「もっもちろんよ…結婚式に行けなくて、ごめんね?」
「いや、イイヨ?お前は留学中だったんだし。」
優しい笑顔で見つめながら
彩の荷物を持った。
「さあ、タクシー待たせてあるから、行こう」
「うん…」
そして
二人を乗せたタクシーは
進み出した
ちょっと気まずい雰囲気が
拓也は疲れているのだろうと思い
彩に話しかける様子がない
私の心の中は
お兄ちゃんへの恋心が
うすれていくようだった。
最初のコメントを投稿しよう!