01 赤瞳の少年と私

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   酒に酔った時と似た高揚感が、体の奥からわき上がるのを感じる。 全身が熱を持ち、足に上手く力が入らず立つことすら難しい。 全ての感覚が鈍る中、彼の手の冷たさだけがハッキリしていた。  上手く頭が回らないが、今の自分が異常であるということだけは辛うじて理解する。  本能的に彼の手を振り払い、よろめきながらも後退して距離をとる。 その途端、脳はすぐに覚醒し、高揚感も引いた。 「どうかしたのか?」  レオンは差し出した手を下ろし、首を傾げる。 その様子からして、今のは彼が私に何か魔法をかけたから、という訳ではないらしい。 「いや……静電気がおきて、驚いたんです」 「そうなのか。最近、乾燥しているからな」  私の下手な言い訳を、彼は疑いもせずそのまま受け取ったようだった。 どうやら、かなり素直な人らしい。  ……顔の造形の美しさに気をとられて気付かなかったのだが、彼の顔には表情というものが抜け落ちている気がする。 完全に無表情だ。 その完璧過ぎる容姿も相まって、まるで人形のように感じる。 「それでは、案内しよう。後ろから着いてきてくれ」  くるりと私に背を向けて、先の見えない廊下を歩き始める彼。 くだらない思考を頭から追い出して、彼の後に続き私も歩き始めた。
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