01 赤瞳の少年と私

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「まず、頭に入れていて欲しいのは“この学園は広い”ということだ」  廊下を歩きながら、彼は説明を始めた。 「小学校から高校までの校舎、生徒と教師全員の寮、その他訓練所などの施設――が、全て敷地内にそろっている」  それが具体的にどれほどの広さなのかは、全然想像出来ない。 だが、気軽に端から端まで歩いていける距離ではない事は理解した。 「だから、移動は基本的に移動呪文を使うことになる――ここだ」  突然彼が立ち止まったせいで、危うく背中にぶつかる所だった。 さり気なくまた距離をとり、彼が指さす方向を見る。 「【特別寮】?」 「そうだ。この扉の向こうには、特別寮に繋がる魔法陣がある。――移動教室や、校舎に行く時も同じだ」  そう言って、彼は扉を開く。 すると、先程師匠と居たところと同じような部屋があり、中央にはこれまた似たような魔法陣が書いてあった。  なるほど、どうやらこの建物の中には、こんな魔法陣がいくつもあるらしい。 移動する際の中継地点、というとこだろう。  しかし、寮と校舎が、移動呪文を使用しなければいけないほど遠いのか……これは、本気で迷いそうだ。  そう思いながら改めて辺りを見回すと、似たような扉が後ろにもあった。 此方は【普通寮】と、扉に金の文字で彫られている。 「普通寮と特別寮の違いって何ですか?」 「普通寮が一般生徒の寮、特別寮が特待生の寮だ」
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