22人が本棚に入れています
本棚に追加
「まず、頭に入れていて欲しいのは“この学園は広い”ということだ」
廊下を歩きながら、彼は説明を始めた。
「小学校から高校までの校舎、生徒と教師全員の寮、その他訓練所などの施設――が、全て敷地内にそろっている」
それが具体的にどれほどの広さなのかは、全然想像出来ない。
だが、気軽に端から端まで歩いていける距離ではない事は理解した。
「だから、移動は基本的に移動呪文を使うことになる――ここだ」
突然彼が立ち止まったせいで、危うく背中にぶつかる所だった。
さり気なくまた距離をとり、彼が指さす方向を見る。
「【特別寮】?」
「そうだ。この扉の向こうには、特別寮に繋がる魔法陣がある。――移動教室や、校舎に行く時も同じだ」
そう言って、彼は扉を開く。
すると、先程師匠と居たところと同じような部屋があり、中央にはこれまた似たような魔法陣が書いてあった。
なるほど、どうやらこの建物の中には、こんな魔法陣がいくつもあるらしい。
移動する際の中継地点、というとこだろう。
しかし、寮と校舎が、移動呪文を使用しなければいけないほど遠いのか……これは、本気で迷いそうだ。
そう思いながら改めて辺りを見回すと、似たような扉が後ろにもあった。
此方は【普通寮】と、扉に金の文字で彫られている。
「普通寮と特別寮の違いって何ですか?」
「普通寮が一般生徒の寮、特別寮が特待生の寮だ」
最初のコメントを投稿しよう!