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へぇ、と呟くと彼は更に説明を続けた。
「特待生は授業料と、学習に関する費用が免除される――理事長からは、君も特待生だと聞いたが」
「え、ああ……多分、そうなんだと思います」
私は特待生だなんて聞いていないが――内容がグランさんが言っていたことと同じだから、恐らくそうなのだろう。
曖昧な返事だったが、彼は特に気にしていないようだった。
「本当は、店や校舎も案内してやりたいが、そうすると日が暮れてしまうからな」
そう言って、彼は部屋の中に入る。
その後に続いて私も入ると、彼は扉を閉めた。
「移動呪文は使えるか?」
その問い掛けに頷くと、彼は魔法陣の元へと歩き始める。
「これから毎日使うことになるから、魔力の残量には気をつけるようにな」
もし魔力が空になれば、徒歩で帰るしかないのだろう。
移動呪文が必要なほどの距離を徒歩で移動する――考えるだけでゾッとする話だ。
魔法陣の上にいる彼の隣に立つと、彼は跪いて地面に少し手を触れた。
その瞬間、陣の周りが発光し視界を覆い隠す。
――移動呪文の発動だ。
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