01 赤瞳の少年と私

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     彼女――キャサリンはその言葉で振り返る。 「テーブルに置いてくれるかしら。……さ、おいでなさいな」  彼女はくねくねと体を揺らす独特の歩き方をしながら、テーブルの元へ行く。 そのテーブルに椅子は三つあった。その内の一つを彼女に勧められ、私は素直に座る。  隣りにはレオンが座っていて、切り分けられるケーキを目を輝かせながら見ていた。 先ほどまでのクールで落ち着いた雰囲気はどこへやら。 ――ま、私はこっちの方が人間っぽくて好感が持てるけど。 「さ、どうぞ」  皿の上にのせられたショートケーキ。 たっぷりのクリームに熟れた苺がちょこんと乗っているその様子が、なんだが少し可愛いらしい。 「いただきます」  レオンは手を合わせてそう言った後、フォークを持ってショートケーキにかぶりついた。  ――正直、私はショートケーキなどの甘いものはあまり好きではない方だ。 しかし、断るのも悪いのでいただくことにする。  フォークを持って、のろのろとショートケーキの欠片を口に運ぶ。 ぱくりと口の中に入れた瞬間、私は思わず目を見開いた。 「美味しい……!」  クリームの甘さと苺の甘酸っぱさが、ほどよくマッチしている。 スポンジもふわふわだし……失礼な話だが、グランさんが今までくれたどのケーキよりも美味しかった。
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