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「ありがとう」
レオンはケーキがのった皿をキャサリンから受け取り、助け舟を出した私に微笑みかけた――というか、微笑もうとしたのだろう。
残念ながら彼の口元が二、三回痙攣しただけで笑顔にはならなかった。
顔の筋肉が固いというか、まあ、そういう病気を抱えているかもしれない。
「いえ、気にしないで下さい」
二つの意味を込めて言葉を返し、ケーキを味わう。
「……あ、そういえば、レオンちゃん。もう【魔物討伐隊】の集合時間じゃない?」
キャサリンが、壁に掛けられた時計を眺めながら言う。
因みに時刻は午後6時。
「ああ、そうだな」
さらりと言うレオンに、キャサリンは眉間に皺を寄せた。
「またガブリエルちゃんに怒られちゃうわよぅ」
「それは避けたい」
既に空になった皿をにフォークを置き、彼は椅子から立ち上がる。
「すまんな、今から仕事なんだ。校舎や店の案内は、キャサリンに頼んである」
「分かりました。……というか、忙しいのに、ここまで案内してもらってすいません」
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