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「いや、最後まで案内出来なくて此方こそすまない――」
「レオンちゃん、時間」
キャサリンに母親のような口調で言われ、彼はようやく動き出した。
戸口に立てかけてあった黒いキャリーバックを手に取り、扉を開ける。
「行ってくる」
「気をつけてね」
「行ってらっしゃい、です」
彼は小さく私達に会釈した後、扉の向こうに消えた。
そして、部屋が一瞬静かになる。
「え、と……魔物討伐隊って、何ですか」
初対面の人間と2人っきりというのも辛いが、沈黙が長引くともっと話づらくなるだろう。
そう思い、私は適当な話題を彼女に提供した。
「ああ、【魔物討伐隊】っていうのは、この学園の優秀な生徒を集めて、魔物退治――まあ、実践訓練をする生徒達のことよ」
「ほとんど、名前の通りですね」
素直な感想を口にすると、彼女はカラカラと笑った。
「名は体をあらわす、ってね。……でもこれ、学園生徒全員の憧れなのよ? 就職にも有利だし」
へぇ、と呟くと、特待生も同じくらい憧れられてるけどね、と返された。
それがフォローになっているのかは置いておいて、“就職に有利”という言葉について詳しく尋ねる。
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