01 赤瞳の少年と私

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  「学園に認められた実力、魔物との戦闘経験があれば自然とお声は掛かるわよ。――特に、軍からはね」 「いきなり物騒な話になってきましたね」  この場合の軍は、十中八九国家が所有しているものだろう。 この何年かはおさまっているとはいえ、魔族の襲撃がいつまた始まるか分からないのだ。 優秀な兵士を集めて、守りを固めたいのもわかる。 「勿論、ボディーガードとか退治屋とか、この学園の教師になるとか、道は他にもあるわよ」  ボディーガードと退治屋を、教師という職業と並べていいものなのか少し戸惑う。 いや、別に教師を侮辱している訳ではないが……方向性が違うだろう? 「じゃあ、彼はそれらの中の職業に就く為に?」 「ええと……彼はそういう訳じゃないの」  彼女は困ったような顔をしながら、紅茶に口をつけた。 何気なくした質問だったが……地雷だったのだろうか。 「そうなんですか。では、あの、部屋を教えてもらっても?」  空気を読んで話題をすり替えると、彼女はホッとしたような表情をしていた。分かりやすい。
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