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「ルナ、君は来週からここに通うことになる。色々、準備もあるだろう――此方に来なさい」
呼ばれたのでグランさんに駆け寄ると、彼は胸のポケットから金色のカードを取り出した。
「君の生徒証明書だ。これを学園内の店で見せれば、無料になる」
「! ……そんな凄いもの、頂いても良いのですか?」
差し出されたカードと、グランさんの顔を交互に見て尋ねる。
金がない私にはとても有り難いものだが……
「無料になると言っても、学業に必要なものだけだ。娯楽品は自腹になる――受け取りなさい」
私は少し迷ったが有無を言わせぬその声に、結局そのカードを受け取ってしまった。
「学費の援助までして頂いているのに……本当に有難うございます」
深々とお辞儀すると、グランさんは表情を少しも変えずに言う。
「私が出来ることはそれくらいしかないんだ、気にするな。――レオン、入りなさい」
グランさんが名前を呼ぶと、背後にある扉がゆっくりと開いた。
「はい、理事長」
穏やかな低い声が空気を震わせ、私の耳に入る。
彼の姿を見た時、私は思わず息を呑んだ。
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