22人が本棚に入れています
本棚に追加
艶やかな黒髪と陶器のように滑らかな白い肌の対比が美しい。
すっきりとした鼻立ちに、僅かに赤みがついた唇。
それらが寸分の狂いもなく完璧に配置され、美という抽象的なものを体現している。
中でも、鮮血を連想させる色をした両目には一番目を惹かれた。
――要するに、彼は物凄い美形であるということだ。
「彼も君と同じ年齢だ、君にこの学園を案内するように言ってある」
「私はグランとお話があるから、先に行ってて」
グランさんと師匠にそう言われ、私は少し緊張しながら扉の方へ向かった。
今まで大人に囲まれて育ってきたから、同年代の相手と話すことには慣れていない。
「じゃ、楽しんできてね」
師匠の笑顔に見送られ、部屋から出る。
扉を閉めて、少年の方に視線を向ける。
「レオン・ハーネットだ。君は?」
「……ルナです」
突然の問いかけに戸惑いながらも返事をすると、彼は自然な動作で右手を差し出した。
「よろしく頼む」
恐る恐る手を差し出し、握手に応える。
ひんやりとした手に触れた瞬間、頭がくらっとした。
直後、頬に熱が集中する。
最初のコメントを投稿しよう!