人格

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こんなので 安心感を得るなんて 普通ではないっていう事は 自分でも分かってる 理解されないだろうって事も分かってる けど 他に頼れるものなど何もない 信じられるものは 流れ出る血だけ… それだけが あたしは人間なんだと 生きているんだと実感できる 唯一の証 これが さっちゃんの最後の手紙にあった 逃げ道になるんだろうか?こんな逃げ道でも さっちゃんなら分かってくれただろうか? 逃げてるんだという自覚はあった それでも 逃げなきゃ本当に壊れてしまう リストカットを大輔に気づかれるまで そんなに時間はかからなかった ばれたら こういうのはウザがられる事も分かってる 一緒にいても お互いおかしくなるね 少し距離を置こう 一度 離れてみて やっぱりお互いが必要と思えば 戻ればいい 別れるんじゃない 大輔は別居するために 部屋を探しに行く この日も彼の携帯の電源は切られたまま 帰ってきたのは 遅い時間だった 一人でゆっくり考える為の別居だから あたしにも 彼女にも 部屋の住所は教えない そう言ったのに部屋を探しに行くのも 引っ越しも 彼女が一緒だったんだよね 彼女の部屋から 歩いて行ける 近所に部屋を借りたんだよね 知ってたけど 知らないふり あたしに嘘をつく事なんてもう何とも思ってないんだね
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