36人が本棚に入れています
本棚に追加
「源さんの気持ちはよくわかります。人が殺されたと、殺人がおこったと、報道しているニュースを見ると、人はどうにもやり切れない気持ちになってしまうわけです。自分に何かできないか、自分でそれを防ぐ事はできないかなど、様々な思いが膨らみわけです」
「ふむふむ」
俺は竜崎が喋っている事に相槌をいれながら一生懸命聞き入れる。
「でもですね、それはどうにもならない事なんですよ」
「どうにもならない・・・・・・」
「そうです。いくら殺人を止めたいと思っていても、殺す人の殺人を予測して止める事なんてできないんですよ。所詮、その殺人を犯した人は、殺人を犯す人だった。ただそれだけの事です」
とても、探偵をしている人物から出てくる言葉とは思えないな。
「じゃあ、竜崎は諦めろって言いたいのか?」
「そうじゃないですよ。ただ・・・・・・」
「ただ?」
「いえ、なんでもないです。では早く行きましょうか」
そう言うと、早歩きになって会話を終わらした竜崎。
うーん、なんか会話を流されたような・・・・・・
まあ、いいや。
そして、俺達は会話もないまま商店街へと進んで行った。
最初のコメントを投稿しよう!