第1話

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2003年 東京 その日、佐久間の家に一通の手紙が届いた。 「あら、欧介君からね」 佐久間の妻・真理子は封を開け手紙を読んでみる。 「え、ちょっと大変」 真理子は慌てて佐久間を呼びに行った。 「ちょっとあなた?」 「どうした、そんなに慌てて」 まだ眠そうな目をこすりながら佐久間がやって来た。 「これ…」 真理子は佐久間に手紙を差し出した。 内容を確認した佐久間は神妙な面持ちに変わる。 「とりあえず、みんなにも話そう」 「そうね」 その夜、お馴染みのメンバーである粕屋と花房が佐久間の家にやって来た。あれから三年経った今でも、こうして皆で集まって飲むことが多い。 粕屋の交際相手であるなみもたまに同席することもあったが、今日はなみの姿はなかった。 「で、何なんだよ話って」 粕屋が佐久間に訪ねる。 佐久間の表情は暗い。 「良くないことなのは間違いないですね。まさか…佐久間さんたち離婚するとか?」 佐久間の表情から察したのか花房が問う。 「いや、俺たちのことじゃない」 下を向いたまま佐久間が返す。 「じゃあ、誰の?」 「欧介だ」 「欧介さんに、何かあったんですか?」 粕屋も花房も無意識に身を乗り出す。
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