後 編

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昼の営業が終わった後、先代に呼び出された。 「今日のお前はなんだ。いっぺん頭冷やせ! 夜は片岡中心で廻す!」 我に帰った。 本来、花板の出す寿司は、伊万里の赤絵を模した皿が目印となっており、値段も白い皿の倍以上である。 お客もそれを心得ていて、白い皿で腹ごしらえした後、赤い皿で仕上げていく。 数の少ない赤皿は多くの客の目当てとするところであり、店の看板商品でもある。 そんな基本も忘れ、オレは片岡との花板争いにやっきになってしまっていた。 皿の色など、まったく見えていなかったのだ。
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