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2階へ駆け上がる。
一服していた先代が驚いたように顔を上げた。
俺は先代のもとへひざまずいた。
「俺、勘違いしてました!出直します!片岡の後ろ、いや5番手でもいい、夜の営業やらせてください!」
かつてこの店の花板だった、尊敬する大先輩。
味や香りというよりキレ味、すなわち握りの姿の美しさで勝負していた男。
「お前……」
先代が口を開く。
「昼間、何皿盛った」
「何皿、ですか?夢中だったんで……正直わかりません」
「わからない?」
俺はただただ謝ることしか出来ず、畳に額を擦りつけた。
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