後 編

4/5
前へ
/27ページ
次へ
2階へ駆け上がる。 一服していた先代が驚いたように顔を上げた。 俺は先代のもとへひざまずいた。 「俺、勘違いしてました!出直します!片岡の後ろ、いや5番手でもいい、夜の営業やらせてください!」 かつてこの店の花板だった、尊敬する大先輩。 味や香りというよりキレ味、すなわち握りの姿の美しさで勝負していた男。 「お前……」 先代が口を開く。 「昼間、何皿盛った」 「何皿、ですか?夢中だったんで……正直わかりません」 「わからない?」 俺はただただ謝ることしか出来ず、畳に額を擦りつけた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加