完結編

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先代は昼間の一皿を、俺の鼻先に差し出した。 「ウンコあってのウンコ職人だろ」 「はい。そうです、その通りです」 「シャリの上に乗ったまま誰の口に入ることもない。哀れだと思わないか」 自分がネタ振りした寿司をまじまじと眺めるのは何年ぶりのことだろう。 修行を始めた頃は自分の寿司の出来が気になって仕方なかった。 でも腕、いや尻に自信がついてからは、寿司を手に取って眺めるなんてことは一度もなかった。 先代が怒るのも無理もない。
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