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片岡、いや片岡と名乗った男とは店を出たところではぐれた。
もう二度と会うこともないだろう。
会ったところで、俺は片岡の顔を覚えていない。
そうだ、こいつももう必要ない。
俺は人気のない路地に入り、フンドシの紐を緩めた。
ウンコに踊らされるなんて……。
ふいに自分を笑ってやりたくなって、俺は叫んだ。
「ビバ! ウンコ寿司!」
フンドシを放り上げる。
白いフンドシが、空一面に広がって、二度、三度と胴上げのように舞う。
俺は思い出した。
片岡のフンドシが黒だったことを。
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